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今日のお客さま。2001.9.22(はれ)『祝・ホールインワン!』より。
「175ヤードです。」
キャディさんがショートホールの距離を計算して云った。
今日は朝から一日風が強いと天気予報で云っていたとおりで、
しかもこのショートホールではアゲンスト。
「この風だと、180、いや190くらい打っていかないと
届かないかもしれませんね。」
キャディさんのアドバイスにプレーヤーは皆番手を上げる。
1人、引っかけ。2人、届かず。3人目も引っかけた。
グリーンには誰もオンしていない。
「よーし、」
4人目のお客様がスプーンを持ってティアップした。
「あんた、スプーンじゃ届かんよ。ドライバーにしたら?」
天敵の悪魔の囁きが始まった。
さっきから「左はO.B.だから左に行かないようにね」
と云われては左にO.B.して、
「目の前は池よ、わかっとるね?池に入れないようにね」
と云われては池に入れ、
今またドライバーでないと届かないよ、
と屈辱的なことを云われているところだった。
「ふんっ、その手は食わぬが浜のハマグリよ!」
お客さまの打ったボールはピシーッッ!といい音がして
ボールはまっすぐ真ん中からグリーンに乗っていた。
「あ、届いたっ」
誰かが云った。
やはりスプーンでは届かないと思っていたらしい。
「ナイスオンですね、」
キャディさんがにっこり笑った。
「うわ〜、まだ走りよるばい。」
4人のお客さまとキャディさんはそろそろ止まってもいいボールが
まだ転がり続けているのをいぶかしんだ。
「あれ〜、、、、もしかして・・・」
バシッとピンに当たったかと思った瞬間、ボールが消えた。
「・・・・入ったんじゃない?」
「・・・・入ったかも。」
「・・・・入ったばい。」
「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「入った〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」
その場にいた全員が出せる限りの声を出して叫んでいる。
興奮さめやらぬ中、キャディさんはお客さまの飛んだティを拾い上げると差し出した。
すると、
「ありがとう!キャディさん!」
お客さまはキャディさんの差し出したティごとキャディさんの手を掴んで握手した。
キャディさんとお客さまを囲んで同伴者の3人が
「ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!」
と再び喜びを分かち合った。
・・・
グリーンに向かうとみんなでカップを覗き込んだ。
「入っとるばい。」
1人がボールを取り出そうとするともう1人が慌てて止めた。
「こらっ!取るんじゃない。」
そう、ホールインワンした本人だけがカップからボールを取り出せる権利があるのだ。
ボールを取り出すとポケットからスコアカードを出して
「・・・えーっと、こういうのは“1”って書けばいいんだっけ。」
「おおー、“1”かぁー。いいねー。」
「俺は3も叩いたよ」
「俺は4も叩いた!」
みんなグリーンで笑っていた。
・・・
「ところで県議、(実はホールインワンしたのは県議会議員だった)
さっそくだけど明日みんなを集めてお祝いの準備をしようか?」
「いや、明日は駄目。“全国健康△○◇□○マラソン”っていうのがあって
わしも走らんばいかんもん。」
「なんね、そがんと、走りよって転んで怪我でもしたらどがんすっとねっ」
キャディさんはくすくす笑っていた。
「じゃあ、1ヶ月くらいおいて来月末にホールインワンのコンペよ、いいね?」
「来月末はヨーロッパにいかんばもん。」
「なーんが、ヨーロッパね!あんたがヨーロッパっていう顔ね。
飛行機に乗ったら落っちゃくっばい!」
「ところで、スコアばってん、県議、もうちょっと頑張ってもらわんと
コンペのときに発表するけんね、100は切ってもらわんとみたんなかばい。
60も叩きよる場合じゃなかよ。」
「はいはい。(笑)」
・・・
最終ホールのグリーンに支配人がいました。
実はお客さまには先日50組を超えるコンペを開催して頂き、
今日はそのときのコンペの幹事さんたちで
お疲れさま会のミニコンペをしている最中だったのです。
そのお疲れさま会で、主役の県議がホールインワンをしてしまいました。
支配人はコンペのお礼を云おうと待ちかまえていたのですが、
そんな支配人に幹事のお一人が云ったのです。
「支配人、またコンペするから」
「は?」
「県議がホールインワンした。」
「!」
そして、ホールアウト。
100は切れと云われた県議のスコアは結果は101でした。
それよりも、やっぱり、
ホールインワン、本当におめでとうございます。(^^)
さて、これからが後日談です。
お客さまがお亡くなりになりました。
びっくりしました。
ホールインワンをしてから半年ほど経ったある日。
テレビのニュースで交通事故のニュースが流れていました。
横断歩道を歩いていて、車に引かれたと・・・
よく聞いていると、お名前が間違いなくあのお客さまなのです。
すごーく、ショックでした。
とってもいい方だったのに。(T_T)
ホールインワンは交通事故みたいなモノだから・・・とはよく言ったもので
本当に身近にこういうことが起こると冗談ではないような気がしてなりません。
ホールインワンをしたら厄払いの意味を込めてみんなでお祝いして厄を払う、
という話も聞いたことがあります。
お客さまはホールインワンの記念のコンペもしてくださったというのに。
あんなにみんなで喜んで笑いあったのに。
思い出すと、今でも悲しくなります。 |
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