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1999.6.1(はれ)・29度
『シニア』
毎月のシニア会に参加しているお客様の一人はこんな風に云う。
「わたしは毎月この日が楽しみなんですよ。
若い人たちと一緒じゃないから飛ばそうとしなくていい、
この日ばかりは同じ年頃のみなさんの中で
大きな顔をしてゴルフができますよ。」
ゴルフを始めて30年も40年も立つような方たちばかりだ。
もちろん、マナーやエチケットもいい。
プレーもスムーズに進む。
パターは上手い!
今どきの若いもんは見習って欲しい。
1999.6.3(はれ)・30度
『チョロ出し7年』
お客様は右の斜面に激突させて、
グリーンがまったく狙えないところに打ってしまった
・・・。
しかも大木の真後ろ・・・。
次打はどーやっても木に当たるのは確実だ。
「仕方ないこの先のOBが気になるけどこのまま右に打つからね!」
と言って言った通りに打つ筈が本人の意思とは違う方向に球は向かった。
「あっ、右過ぎたっ!」
「もう1球お願いしま〜す!」
「・・・。」
木をよけるばかりにO.B.になってしまった。
打ち直しは正面から正々堂々と打つことにしたらしい。
意を決して放ったショットは
「カッキーンッ!!」
・・・。
球は木に正面から当たってそのまま真後ろにヒュ〜ンと戻って
あろうことかOBに!
「これって、2つOBってことですか?」
お客様は妙な敬語を使ってキャディさんに問いかけた。
信じたくない気持ちもわかるが”チョロ出し7年”という言葉がある。
ゴルフに夢中になっている時期はなるべく1打でもスコアを落としたくないものだ。
でも、その1打で最小限にスコアを押さえることも出来るのだ。
次の1打のために。
1999.6.5(はれ)・31度
『歳』
「お姉さん何歳?」
と聞いてきたのはまだ20才くらいの男の子だった。
「26です。」
キャディさんは暑くて冗談も言い返せなかったのでそのまま答えた。
「うわ〜っ!僕より5才も年上だーっっ!」
うるさいガギだな、とキャディさんは思った。
「僕が2つ上だな。」
どー見ても50近いお客様がキャディさんの横にきてにやっと笑った。
「近いですね。」
キャディさんは云った。
・・・
70才に近いおじいさんはキャディさんを見るなり云った。
「貴女は19才でしょう?」
「ありがとうございます。(笑)」
「違うよね。21くらいよね?」
40才くらいの人が云った。
「ありがとうございます。(笑)」
「な〜にが19や21だよ〜、もう30で子供が2人いるんだよね?」
「・・・。」
ぶっ殺す!
「あの〜、今度からクラブは自分で取りに来てくださいね〜(笑)!」
キャデイさんはいつも笑顔で言った。
1999.6.6(はれのちあめ)・27度
『池』
最終ホールはセカンドから打ち下ろし。
通称「さざ波バンカー」といわれる砂浜と波打ち際を思わせる
グリーンの左側はバンカーから池へと続いている。
ローカル・ルールでこのバンカーは池と同じラテラルウオーターの扱いをする。
そしてこの日は4人中3人がこの池に打ち込んだ。
ラテラルの処置は4方法ある。
一人は元の場所から打ち直すと云った。
一人は最終通過点とピンを結んだ後方延長線上にドロップした。
そしてもう一人は、球がバンカーと池の境目にあって・・・
球は水の中ではないのだが・・・
スタンスは水の中に入るがこのまま打つ!
と云い出した。
もちろん、打ってかまわないのだから
好きなようにやってくれていいんですけどね〜。
3人が3様の選択をした中、水切りショットだけは失敗に終わった。
1999.6.8(はれ)・30度
『2バック』
ゴルフのラウンドは通常4人1組にキャディを一人付ける。
つまり一人のキャディさんは4人のボールを見きわめ
4人のクラブを取り扱い、
4つのボールの位置からピンまでの距離を出し、
お客さまにアドバイスをする。
4人のプレーヤーの一人一人のプレーを
完璧にフォローすることはまず無理だ。
しかも少しでも手のかかる人がいたり、
自分勝手な人がいたら、あとの3人は
そっちのけ!ということもある。
そんなわけで3バックや2バックで1人でも2人でも
人数が減ればそりゃあ、キャディさんの仕事は楽になるでしょう。
それは手抜きとは違う。
4人よりも3人のお客さんにはよりサービスが出来る。
3人よりも2人にはさらにいいサービスが出来る。
1999.6.9(はれ)・30度
『ゴールドティ』
70歳のお客様はとてもパワフルだった。
「ズルいよな〜、
なんでじーさんはティグランドがこんなに前なんだよー」
「おまえも早く70になんな。そしたら前から打てて楽だよ!」
お客様は同伴者にそう言い返した。
「70まであと7年もあんのに!ふざけたこと云ってんじゃないよ〜!
7年あったらどれだけゴルフが上手になってることか!
もう、あんたたちとは一緒にゴルフしてあげれないね!」
「・・・!」
これには全員大爆笑だった。
「アマチュア選手権に出てやるからなー」
面白い。
1999.6.13(はれ)・31度
『ルール』
「あ、マンホールだ。ボール動かしま〜す!」
その競技者は球をいきなりつかんでドロップしようとした。
「あの〜っ!マーカーの方に確認してもらってくださいねーっっ!」
キャディさんが慌てて云った瞬間、つかんだ球をパッと離した。
「あははは。競技でしたね〜」
笑ってすますなー!
とキャディさんの心の中で突っ込みが入る。
次のショートホール。
トップしてグリーンオーバー、
向こう側はティグランドから見えないところなので
OBの可能性もあるので斬定球を打ってもらわなければならない。
「すみませ〜ん。一応暫定球をお願いします。」
「はい、はい!」
競技者がティアップした。
アドレスに入る。
「・・・。」
キャディさんは待っていた。
「・・・。」
しかし、その気がまるでないと思える。
「すみませんけど〜、斬定球の宣言をされてくださいね〜(笑)!」
キャディさんはわざと明るく振る舞った。
「・・・ん?」
ん?じゃなくて・・・。
暫定球って知ってんのかよー!
再びキャディさんは口に出さずに突っ込んだ。
打つ前に云わないとペナ付くんですよー。(2打罰ね)
我慢して我慢してキャディさんは7ホール目で力尽きた。
前の組のグリーンを待っていたとき
「200ヤードのショートホールです。」
とご案内すると、
もとが意地悪なキャディさんは続けて
「200ヤードしっかりありますね〜、
風もアゲンストですね〜この風じゃあ〜220ヤードくらいありますね〜」
「え〜っ!そ、そんなに〜!何で打とーかな、クラブないよ〜!」
いくら風が強くても220もないのだ。
キャディさんはふふ、と含み笑いを堪えていたが
「僕、このボールで今日12個目なんですよ。」
「・・・?は?あとの11個は?」
「OBです。」
「・・・。」
「さっき、73叩いたんですよ僕。」
「・・・ハーフですか?」
「そーなんです。」
「たしかもう、アンダーでまわって来てる方がいらっしゃるそうですよ。70で!」
「18ホールですか?僕のハーフより少ないですね!(笑)」
笑うな!具合悪くなる。
「ああ〜こんなんじゃ来年は来るなって云われてしまいますね〜」
来年も来る気でいるとは。。。。
1999.6.15(はれ)・31度
『測定器』
ショートホール、グリーンエッジまで150Y。
ピンはエッジから13Y入ったところに切ってあるので
ティグランドからピンまでは163Yである。
キャディさんはその計算から出た距離を元気良くお客様4人に伝えた。
「ピンまで163Yですねーっ!」
「は〜い!」
ノリのいいお客さんたちだ。
「え〜っと、エッジまでが・・・うんうん、間違いなく150Yだね〜」
???
突然一人が双眼鏡みたいなものを取り出してグリーンに向かって喋りはじめた。
「バックピンしてるあのキャディさんまでは164Yだよ!」
「・・・。」
この人は距離を測ってるんだと気付いたとき、
キャディさんの顔は一瞬ギクっとした。
が、測定された距離と自分が云っている距離がぴったり合うではないか!
何の問題もない。
しかし、何だか1日が気が重いような・・・。
実際お客様は毎ホール距離を測っていた・・・。
1999.6.16(あめときどきはれ)・31度
『アイアン』
190Yの打下ろしのショート。
今日初めてのオナーのお客様は、スプーンを握っていた。
スプーンの当たりは良く、グリーンエッジに落ちた球はそのまま転んで
グリーン奥のカラーで止った。
残る2人はそれぞれ4番アイアンと5番アイアンで
ピンの横にピタッピタッと付けてきた。
「アイアンで打てていいな〜」
スプーンで打ったお客様はしみじみと呟いた。
「とどくアイアンを買ったらどーですか?!」
アイアンで打った一人が云った。
「・・・。」
言われた方は目をむいて、絶句状態。
キャディさんは笑い転げた。
1999.6.18(あめ)・24度
『管理のおじさん』
18Hのラウンドが終わるとクラブ確認をしてもらい
お客様からサインをもらうことになっている。
スタート室の目の前の丸いテーブルでサインしていたお客さまが
「あれっ!?」
大きな声を出してスタート室の中の人物を見つめた。
中に居たのはコース管理のおじさんだった。
「ここで働いてたの?」
「うん。このゴルフ場ができてからずっとね。」
「へえ。じゃあ、ゴルフも上手いわけだ。だいたい、72、3?くらい?」
大真面目な顔で冗談を言い合っているらしい。
「うん、っていうか、教えてんだけどね。」
「・・・。」
沈黙の後その場に居合わせた人たちは吹き出してしまった。
冗談にもほどがある。(笑)
1999.6.19(はれ)・26度
『かーちゃん』
ハーフ交代のため、その組の後半はパートのキャディさんがついた。
このパートさんは子供が4人いて、
たくましいまさにふとっぱらかーちゃん!だ。
「あらー、さっきのキャディさんは骨みたいな人だったけど
今度のキャディさんはまた・・・」
「何ですか!」
かーちゃんは体も大きいが態度も大きい。
「え〜っと、ピチピチしたキャディさんだねー。」
お客さんの方が慌てている。
「ありがとうございます!」
かーちゃんはにっこり笑ってからお客様にこう詰めよった。
「骨とピチピチとどっちが好きですか?」
「ピチピチ!」
「ありがとうございます!」
もう、無理矢理云わせている。
1999.6.24(あめ)・23度
『バンカー』
OUTコースのスタートホールのティショットは
フェアウェイセンターよりも少し右から狙っていくと良い。
オナーから3人は攻略通りに右から攻めていった。
4人目のお客様は打った球がセンターからドローがかかり
調度左に待ち受けていたバンカーに入った。
「うわ〜!球が云うことを聞かない!」
とっさにそう叫んだ。
「なんなの、言うこと聞かないって。」
同伴者達が次々にはやし立てた。
「リモコンでも付いてんの!?」
「しつけが悪いねー」
1999.6.25(あめ)・21度
『鉄腕レース』
鉄腕レースというコンペの通常のコンペと違うところは
優勝するにはたくさんホールをまわらなければならないということだ。
プレー代は平日の18ホールの料金で
早朝7:30から日没まで好きなだけプレー出来る。
アルコールは別として茶店の食べ物と飲み物は食べ放題と飲み放題だった。
今日は雨、少し早い日没と雨との戦い。
みんな意地でまわっている。
1999.6.26(くもり)・24度
『戦争』
今日は月例。
いつもだとピリピリした雰囲気でゴルフをするのだが今日は違っていた。
きっと、3人とも70歳以上のおじいちゃんだったからだろう。
「わしゃ〜、70じゃからの〜飛ばん!飛ばん!」
っと云いながらハンデ10のお客さまは結構やる。
「月例だからって、若いもんと同じとこから打たせやって!
わしらの半分くらいの歳の連中と同じとこからだぞ!」
なんていいながらも結構、やるのだ。
失敗すると「歳じゃからの〜!」が口ぐせだ。
しばらくすると戦争の話になった。
「わたしは満州におりましたわい。」
「わたしは飛行機に乗ってたんですがね、」
「飛行機はいいですな、わたしは歩兵でしたからの〜、
機関銃を持って歩くのが重くてかないませんでしたよ。」
それからずっと戦争の話しは続いた。
いつかのおじいちゃんはロシアで捕虜になった話しまで続いて
日本に帰還するところで終わったけど、
今日はおじいちゃんたちは3人で満州の話しで夢中である。
聞いていると、なんとなく考え深いものがあった。
1999.6.29(豪雨のちくもり)・23度
『豪雨』
朝方からの集中豪雨。
雷をともなう雨。
福岡地方は観測史上最高の雨量を記録。
博多駅周辺と天神の地下は浸水のため死者も出る程の惨事にみまわれた。
しかし・・・
それでもやって来るのがお客様だ。
「この雨で、ゴルフだからって普通、家を出ようとは思うかな?」
「きっと高速は50K規制で、一部通行止めでしょうね。」
そんな話しをしながらキャディさんたちはクラブハウスの玄関にいた。
「唐津の方で床下浸水だって!」
「佐賀も浸かったらしいよ!」
「武雄と北方はいつものところが浸かったって!」
あとからあとからいろんな情報が入ってくる。
10時頃、ぴたっと雨が上がった。
しかも、近辺のゴルフ場でクローズにしたところからのお客様が何組か流れて来た!
あの朝の豪雨の中を、ゴルフのために家を出て来たお客様、頭が下がります。
1999.6.30(はれ)・28度
『1パット記念日』
ゴルフを始めて間も無い方でした。
グリーンに辿りつくまでに、何度も何度もチョロします。
でも、とても一生懸命で応援したくなるような方でした。
きっと、歳はもう、40歳は過ぎています。
そして何ホール目かのグリーンで
上からのフックラインの5メートルくらいのパター。
なんと1パットで入りました。
「やった〜!始めて1回で入った!」
とっても嬉しそうでした。
「で、スコアは?」
「7オンの1パット!」
「ダブル・パーか。」
そんなことを云われながらもスコア・カードに
記念に「1パット」と記入していました。
なんか、ほのぼのとした1日でした。
きっと始めはみんなこんな感じだったんだろうな。
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