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今日のお客さま。
1999年〜ゴルフ場で見たお客さまの珍プレー、好プレー、面白ギャグをキャディさんの実況中継でお届けしています。読むだけでルールやマナーも学べて一石二鳥。キャディさんからお客さまに云いたいことは「人の振り見て我が振り直せ」。今日は一体どんなドラマが展開されているのでしょうか。

【ご注意】いかなるゴルフ場とも一切のかかわりはありません。また、このお話はフィクションですがプレーヤーを非難・中傷するものではありません。

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2002.2.2(はれ)

『キャディさん、お客さまの車を壊す!?』
月曜日から金曜日までの5日間の冬の休暇を終えてゴルフ場に帰ってきた。
うーむ。
・・・落ち着く。
見慣れたクラブハウスといつも朝一番に立つ1番ホールのティグランド。
お客さまがいて、わたしはキャディ。
わたしは、このコースでキャディをしているときが一番落ち着くらしい。(笑)
足も、ちゃんと地に着いている。
こうして踏みしめて歩いている。
一口で云うと、”ほっ”とする。
緊張感も異常なほどの緊張感ではなく、心地よい緊張感。
これくらいが調度いい。

さて、しかし実は今日も朝一番からやらかしてしまった。
お客さまのトランクから荷物を出してトランクを閉めようとしたとき・・・
「あれ?」
「うわっ、壊した!」
「え?」
「社長ーっ!キャディさんが車壊したーっ!」
お客さまが運転席に向かって叫んでいる。
「・・・え〜!?わたし?」
トランクのフタを閉めようと手を下におろしたときにフタの端っこのところが全部はずれて落っこちて
しまったのだ。
慌てて元のとおりにはめ込むと「大丈夫みたいですよ!」とにっこり笑う。
「・・・。」
危ない危ない、車壊すところだったよ。(=_=;)



2002.2.3(はれ)

『1億8千万』
「ゴルフが出来きて、健康が一番!」
お客さまはティショットを終えると「今までゴルフにいくらゼン(銭・お金のこと)使ったかな?」と呟いた。
「2千万は使ったな。・・・いや、ちょっと待てよ、去年は150回ゴルフして」
「150回ですか?」キャディさんはびっくりした。
「そうよ、ちゃんと帳面に付けとるもん。」
何がびっくりしたかというと、お客さまはもう、70過ぎでいらっしゃったからだ。
年間150回もゴルフ出来るなんて、よっぽど健康でなくちゃ出来ないだろうと思ったからだ。
「ゴルフを始めたのは47からだから、2千万じゃきかないね、えーと、」
お客さまは何やら計算を始めると最終的に3千万は使ってる、と云った。
すると同伴者が会員権は入れたのかと聞いた。
「ああ〜。忘れとった、ここと、あそこと、あそこも、3つあるから、そーすると4千万にはなるな。キャデ
ィさん、わしはこの年までゴルフに4千万は使こうとる。」
「はあ、、、4千万で足りてますか?」
キャディさんは小声で呟いた。
「しかしな、わしはゼンより体が良か!」
「そうそう、死んでまで金は持っていけんからな。自分の金じゃから自分で使っていいんだよ。」
「ああ、ゼンというたら酒も忘れとった!酒は23から初めて50年。」
「ご、ごゅうねん、ですか・・・(^^;)」
「ざーっと計算して、年間100万で5千万。いや、年間100万で足りてるだろうか?」
「年間100万じゃ足りないんじゃないですか?」キャディさんが相づちを打つ。
「足りんよな?まあ、いいや、ざーっと計算してるからの・・・」
「これは入れたか?」
今度は同伴者が小指を立ててにやりと笑った。
場所はすでにティグランドからセカンド地点に移っている。
「おおーっ、それもあったなぁ、月に30万だったから1年で360万、それの15年で、・・・えーっと、」
お客さまはキャディさんの顔を見ると
「いくらになるかの?」
「えーっと、360万の15年で、えーっと、」
フェアウェイで前の組のグリーンを待っている間、キャディさんとお客さまは並んでお金の計算をしている。
「あんたたち、金の計算ばっかりしてて距離を間違えなさんなよ。」
同伴者が通りすがりに肩をすくめてそう云った。
「5400万!」
キャディさんが叫んだ。
「5400万か、ゴルフが4千万、酒が5千万、1億・・・8千万、小2億は使こうとるなぁ。」
「・・・に、におく、、、」
「そりゃあ、今頃豪邸が建っとるの。」
またまた同伴者がにっこり笑った。



2002.2.6(はれ)

『遅刻』
5組のコンペなのに1組目のお客さまがまだ揃わない。
「もう、昨日一緒に練習行ったっていうのにすぐこれだ!」
同伴者のお客さまはカンカンだ。
電話をしても留守電になっていて出ないと云う。
「絶対、寝てるね。俺、朝の7時に電話してやったのに!あいつほんと馬鹿だよな、何のために昨日の
夜に練習行ったと思ってんだよ。」
そりゃまたご苦労様でした、とキャディさんはお客さまの判断を待っていた。
「もう、知らん。キャディさん、あいつはおいて行くから時間になったらスタートしようね!」
「・・・いいんですか?おいて行っても、、、」
普段ならこういうとき、時間ぎりぎりまでなんとか連絡を取ろうと必死になったり、突然組み合わせを
買えたりバタバタしてスタート室、キャディを巻き込んでの大騒ぎになるところなのだが・・・
すぐに判断して決めてくれるのってすごく助かる。
と思うキャディさんでした。



2002.2.7(はれ)

『レディ!』
「どっちから行く?」
男性の同伴者がティグランドで女性のお客さまに聞いた。
「わたしレディースから」
「・・・レディじゃないけどな、まあ、いっか、」
「なによその云い方は!ねえ、キャディさん、」
同意を求められてキャディさんは苦笑い。
「ところでさっきから気になってんだけど、そのスカートの後ろのチャック、開いているんだけど。」
「えっ!?あらっ?」
お客さまは慌てて手を後ろに回して確かめた。
「うわっ、わたし、丸見え!?」
キャディさんはおかしくて声を立てずに笑う。
が、
「よか、よか、ストッキング履いてるけん。年取るとすぐ忘れるんよねー。」
・・・忘れるな、っちゅうに!(-_-;)



2002.2.9(はれ)

『えび女』
インコースのティグランドでお客さまがティショットをした。
しゅるしゅるしゅるしゅるっっっっ!
球は地面すれすれを低空飛行で飛んで行った。
「うわぁ、大丈夫かなぁ。今、落ちませんでした?」
ボールはOBラインの境を滑るように走っていき、その先で右に曲がったのか左に曲がったのか
キャディさんにはよく見えなかった。
「なんだって!失礼なっ!フェアウェイの真ん中にあるじゃないかっっ!」
「・・・あっ、そうですか、す、すみません。」
お客さまが大声でキャディさんに掴みかかるような勢いで云うのでキャディさんは肩を丸めて小
さくなりながら後ずさりしながら謝った。
「ちょっと、何ムキになってんの。キャディさん怯えてるじゃないか。」
同伴者がキャディさんをかばってくれた。
「あんまり怒鳴るからキャディさん可哀相にえび女になっちゃったじゃないか。」
「・・・えび・・・おんな?」
なんなのよ、えび女って!
そんなこと云われたのわたし初めてよっ!


2002.2.10(はれ)

『上乗せ』
「後半交代します。宜しくお願いします。」
キャディさんがお客さまに頭を下げると
「おお、あんたか。」
お客さまがにっこり笑うと云った。
「あれから色々計算し直したらあと7千万上乗せになったんじゃが」
「・・・。」
まだ計算しとったんかい。(\_\;



2002.2.11(はれ)

『ティショット』
「ここは右ドックになってて、あのカート道の左狙いで打って行ったらいいですよ。」
とお客さまはお連れのお客さまに自分でコースの説明をしていた。
「あそこですよ、カート道の左の、あの右の木を狙うんです。」
キャディさんも頷いた。
「え?どこに打てばいいんだって?」
4人目のお客さまがキャディバックをごそごそやっていたので説明を聞いていなかった。
「あんた、どこでもいいよ。そこの前に崖があるから」
「・・・。」
この差は一体、、、(^=^;


2002.2.13(はれ)

『バーディ』
最終ホールのグリーン。
セカンドを乗せてきたお客さまのファーストパットがカップをかすめた。
「わぁ〜っ、もう、これ入ってたらなぁ!」
悔しがるお客さま。
「入ってたらキャディさんに”ちゅっ”てしたのに。」
入らんわ。(-_-;)


2002.2.14(はれ)

『ドライバー』
「あれ!?俺のドライバーがない!」
ティグランドで前の組のお客さまが一生懸命ドライバーを捜している。
さっきまで手に持っていたらしい。
「なんでないんだよ?」
前の組のキャディさんはほとほと困っていた。
すると、
「あっ!こんなところに・・・」
植え込みの中にドライバーが刺さっていた。



2002.2.16(はれ)

『ニアピン』
ショートホールでニアピンだった。
180ヤード、なかなか距離もある。
お客さまは5番アイアンでビシッと打ってナイスオンした。
「よかったー、乗って!」
「ナイスオンです。」
キャディさんは半分苦笑しながら云った。
「これでアプローチしなくていい。」
アプローチをすると必ずトップしてグリーンオーバー。
グリーン奥からざっくりして次に打つとやっとグリーンに乗るだけ。
そしてそこから3パット。
それがお客さまのパターンだった。



2002.2.17(はれ)

『バックピン』
お客さまが同伴者にバックピンしてくれた。
キャディさんのお手伝いをしてくれているらしい。
でも、同伴者のボールはカラーで、まだグリーンにオンしていないのでバックピンする必要はない。
キャディさんはその間に他のお客さまにパターを渡したりボールを拭いたりしている。
「あのさ・・・」
カラーでボールを打とうとかまえた同伴者が云った。
「おまえさ、俺まだ乗ってないからバックピンしなくていいから、自分のボールマークしてくんな
い?邪魔なんだけど。」
「えっ?」
キャディさんも頷いた。


2002.2.18(はれ)

『O.B.』
「うわ〜、いい球だったのになぁ。」
「・・・。」
キャディさんはいつも思うことがある。
「今のいい当たりだったでしょ?」
「・・・。」
「なんでこんないい球がO.B.になんのかなぁ。」
本当にいい球ならO.B.にはならないでしょう、普通は。
そう思うのはわたしだけ?



2002.2.20(はれ)

『まっすぐ』
「あっ、もう、むかつくっ」
今どきの若い子は「むかつく」と云うのが口癖みたいなものだ。
それは若いキャディさんたちも同じ。
いつもお客さまに対してむかついている。
仕事をする上でむかつく対象となるのはお客さま以外にはいないのだから、、、

「グリーンでさ、ライン聞かれてまっすぐだから”まっすぐです”って云うじゃん。」
「云うね、」
「聞いておいてさ、そのまっずぐが打てないんだよね、とかいう人いない?」
「いるいるいるいる」
「そんなやつばっかじゃん。」(そんなやつというのはもちろんお客さまのことだ)
「だったら聞くなとか思わない?」
キャディさんたちここで一旦、いっせいに笑う。
「まっすぐが一番難しいとか云われてもさ、まっすぐはまっすぐなんだから仕方ないよね。」
「切れるんだったらスライスかフックか云うけどほんとにまっすぐなんだから云いようがないよね。」
「で、まっすぐ打てないならさ、まっすぐ打てるようになってから来いっていうのよ。」
「それなのに、聞いておいてそのまっすぐが打てないからとかわけわかんないこと云うなっていうの。」
「マジ、むかつく。」
「まっすぐ打てないならアプローチするときにまっすぐなラインじゃないとこに乗せろって思わない?」
「云えてる。」
・・・話は次第に大きくなっていく・・・
「でもさ、まっすぐなラインが打てないくらい下手なんだからアプローチとか考えてないと思うけど。」
「ってことは、まっすぐなラインでパッティングできるだけでもラッキーなわけじゃん?」
「ってことは、まっすぐなラインでがたがた文句云うなってこと!?」
「そういうこと。」
キャディさんたち一様に頷く。


2002.2.21(はれ)

『クラブ入れ』
「あ〜あ、」
出る前からため息をつくキャディさん。
「ほら、クラブを入れる丸いやつあるじゃん。」
「あ、キャディバックの中にいっぱい入ってるやつ?」
「そう、それ。あれ、邪魔!」
キャディさんはとてもいやそうな顔をした。
「あれが今日、3人いる。」
「うわ」
「ってことは下手ばっかってことじゃん。」
スカーフを巻きながら別のキャディさんが話しに加わる。
「・・・。」
返す言葉もない。
「あれってさ、入れてる人に限って下手なんだよね。」
「だいたい上手い人はあんなもん入れてないもんね。」
「格好悪いじゃん、あんなの。」
と云うのが毎日、プロのクラブから昨日ゴルフを始めた人のクラブまで見ているキャディさん達の展開だ。
「下手なんだから、あんなのにいちいちクラブ入れてる暇ないっていうのよ。」
「はんとよね、気がついたら順番通りに入ってなくてバラバラになってしまってさ、自分で出来ないくら
いなら初めから入れとくなって云うの。」
「取るときもあれがくっついてきて、びろーんってなるじゃん。もう、最悪。」
「わたしも取りにくいのいやだぁ」
「ドライバーとか特にいや、ひっかかって取れないんだもん。」
「そうそう、だからわたし、ときどきわざとびろーんってくっつけたまんま出すときあるよ。あら、これ
邪魔ですね、ってわざとらしく訴えてるんだけどお客さん、気づかないのよね。」
キャディさんたちは互いの体験談を持ち出しては一通り笑いあった。
「わたし、1回云ってやりたいのよね。この前パートの○○さんがお客さんに云ってやったらしいんだけ
ど、これ邪魔だから次に来るときは外して来てください、って云ったらしいわよ。」
「えーっ!云えなーい!」
「云えないよね、、、でも云ってみたーい。」
「さずがパートさんだよね、」
いつか、1回でいいからお客さまに云ってみたい一言でした。。。


2002.2.23(はれ)

『花』
キャディさんが茶店に着くと前の組の方たちが出てくるところだった。
「こんにちは」お客さまのほうが先にキャディさんに声をかけた。
「あら、こんにちは。」
いつも仲良しのご夫婦同士4人でやってくるメンバーさま達だった。
楽しげに会話が弾む奥様2人はキャディさんとご主人を通り越して先にティグランドに向かう。
それを後ろから見ながら「今日は、両手に花じゃないですか。」とキャディさんが云う。
ご主人は肩をすくめて「何の花だかわかんないけどね。」とため息混じりに呟いた。
そのときだった、、、
前を歩く奥様の足がぴたっと止まった。
「あなた、何か云った?」
振り返りざまにこの一言。
「云ってません。」
とご主人とキャディさんは直立不動するのであった。



2002.2.24(はれ)

『ティショット』
スタートして3ホール、お客さまのティショットの感じがいい。
「いいねぇ、スムーズに振れてるじゃないか。」
「うん、いいね。」本人も満足している様子。
キャディさんも思わず気持ちがいい。(お客さまの調子がいいのはキャディさんにも嬉しいものだ)
「まあ、そう長くは続かないけどね。」
「・・・。」


2002.2.27(あめのちはれ)

『県内国体強化選手練習日』
とてもたいそうな名前が付いていた。
国体予選を前に、県内の有望なアマチュアゴルファーが一同に集まって予選会さながらの練習会を合同で行う
というものらしい。「国体強化選手」の名のもとに集まった参加者たちにキャディも「競技用」でやるように
と云われた。
乗用カートはホール間だけに使用し、プレー中はカートには乗ってはいけないプレーヤーたち。
朝1番のトップスタートにキャディさんは少し不安を感じた。
競技のときに2時間で帰って来れるわけない、しかも歩きなんて、絶対無理。
お互いのマーカーもいるし、カート道の救済や修理地の救済なんていちいちやってたら2時間以上はかかるの
は避けられない。しかも競技なんだから早く打ってなんて云えないし、・・・というわけだ。
しかし、ふたを開けてみるとキャディさんの心配をよそにプレーヤーたちは4人ですたこらさっさとボールを
打って1人何回打ち直してもプレーが早くてカートを使わずに1時間50分で帰ってきてしまった。
早いのなんのってもんじゃない。後ろの3バックが追いついて来られないくらいだった。
インコースに入ってからもペースはそのまま、しかし、スコアはあまりいいものではない。
こんなにO.B.していいのかというくらい1人で何回もO.B.するプレーヤーがいて、谷越えのショートホールで
は何回打っても谷を越えずにギブアップしてしまったのだ。
キャディさんはいいのか、、、と思いつつもこんな強化選手ってあり?と頭をよぎる。
でも、面白いからいっか、と思えてしまう選手の面々。
「もう、今日最悪。帰りたい。」
と笑いながら愚痴をこぼす仲間に「そんなにスコアが悪いのがいやなら76って書いておけ」と云う始末。
キャディさんは横でくすくす笑っていた。
「そしたらまた来年も是非きてくださいって云われるぞ。」

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