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今日のお客さま。
1999年〜ゴルフ場で見たお客さまの珍プレー、好プレー、面白ギャグをキャディさんの実況中継でお届けしています。読むだけでルールやマナーも学べて一石二鳥。キャディさんからお客さまに云いたいことは「人の振り見て我が振り直せ」。今日は一体どんなドラマが展開されているのでしょうか。

【ご注意】いかなるゴルフ場とも一切のかかわりはありません。また、このお話はフィクションですがプレーヤーを非難・中傷するものではありません。

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2000.9.30(雨)

『カート』
最近では乗用カートのあるゴルフ場が随分増えた。
ゴルフ人口の減少と高齢化にともないゴルフ場は年輩者のゴルフ場離れをくい止める
のに必死の策として乗用カートの導入は無視出来ないものとなってきてる。
実際に乗用カートのあるゴルフ場と従来の「歩き」のゴルフ場においての来場者数は
目を見張るものがある。
特に夏場の来場者数の確保は乗用カート抜きでは戦えない状況だ。

「やっぱりさ、カートのあるゴルフ場なんだからカートに乗りたかったな〜」
「キャディさんがカートに乗せてくれないんだもん。」
「そうそう、自分ばっかりカートに乗って行ってしまうんだもん。」
雨が一段落して少し晴れ間が見えてきた。
18ホールのプレーを終えたお客様がハウスに戻ってくるなり次々に口にした。
「お疲れさま。」
通りかかったキャディさんがお客様を連れて今帰って来たばかりのパートのキャディさ
んに声をかけた。
「ちょっと、カートに乗せて上げなかったの?」
お客様に聞こえないように小さい声で聞いてみたが
「乗せて上げなかったんじゃなくて、乗れなかったの!ねっ、お客様。」
と逆に大きな声で返事が返ってきた。
「・・・そうとも言う。」
「乗る暇がなかったんだよね。」
そんなお客様をしりめに「なんなら晴れて来たことですし、もうハーフ行きます?」と
パートさんは豪快に笑いながら言ってのけた。


2000.9.29(あめ)

『マナー』
「キャディさん、僕始めたばっかりだからよろしくね!」
「は〜い。」
お客様は朝から冗談を言っている、とキャディさんは思っていた。
キャディバックにしてもクラブにしてもゴルフを始めたばかりのお客様だとピカピカ
だっだり極端に使い古していたり、それとなくわかるものだ。
スタートしてもドライバーはよく飛ぶし、なんの問題もないじゃないかと思っていた
が同伴者がティグランドでアドレスに入るときにやたら話かけるのをやめないのはわ
ざとだろうと思っていたがキャディさんが口に手をあてて「しーっ!」とやると「?」
なんかいけないことをしたのかな?という表情をするのでアドレスに入ったら音をた
てたり騒いだりしてはいけないということをわかっていないのだということが分かっ
た。
それからグリーンにタバコを持ち込む。
自分のボールマークを直さない。
人のラインのを踏む。
ピンが立ったままなのにパットをしようとしたり、ゴルフを初めて5ヶ月にしてはプ
レーはとてもスムーズなのだがマナーがなっていない。悪い人じゃないだけにとても
もったいないような気がしていた。
「ゴルフ始めて5ヶ月にしてはいいでしょう?」
キャディさんはそう問われてなんと返事をしたらいいのか一瞬困ってしまった。が、
「ゴルフ場に来る前にルールブックのマナーのところを読んで来い!」
と同伴者の中で一番年長者のお客様が一喝した。
誰もが通る道・・・かな。


2000.9.1(晴れ)
『生ビール』

「行きたくない・・・。」
お客さんの休憩時間はキャディさんの休憩時間でもある。
前半のハーフを終えてお昼ご飯を食べたキャディさんは後半のスタート時間を目前にそう呟いた。
「どーかしたの?」
「生ビール、今日まで100円じゃない。」
「・・・そんなに飲みそうな人達だったの?」
「・・・張り切って行ったわよ。飲めるだけ飲んでくるって言ってた。」
「・・・やばいね。」
「かなりね。」
いくら夏場のサービスとはいえ、生ビール1杯100円というのは・・・。
出来上がったお客さんを相手にするのもまたキャディさんなのだった。


2000.9.2(晴れ)
『アプローチ』

「げーっ!」
「大丈夫です、バンカーで止まったみたいです。」
キャディさんは球の行方を見極めて言った。
ピンを狙いすぎてオーバーしてしまったのだ。
今度は奥のバンカーから・・・
「うわっ!」
「・・・ホームラン。」
キャディさんは口の中で呟いた。
球は再びグリーンをオーバー(?)というかグリーン手前まで飛び出してしまった。
「・・・FWなら持ってますけど。」
キャディさんは手の中にあったアプローチを差し出した。
無言でクラブを受け取るとグリーン手前からのアプローチは・・・
「ぎゃ〜〜〜〜っ!」
「トップした。」
打つ度に悲鳴が起こる。
そしてキャディさんの呟き。
「・・・あの〜」
キャディさんは再びSWを差し出した。
「・・・バンカー?」
「・・・みたいです。」
「・・・。」
頑張れアプローチ!


2000.9.3(晴れときどき雨)
『ショートホール』

「ナイスショット〜〜ッ!」
キャディさんの声がひときわが大きくなる。
それもその筈、160ヤードの打ち下ろしのショートホールはすごいアゲンストの風が吹いて
いてみな手にクラブを握ってはいるものの番手に悩まされていた。
そのさなかにピンにベタッ!と付いた球を目の前で見せられてはそれが前の組で少しの面識
がなくとも後ろの組の4人とキャディさんも一緒になって手を叩いてしまう。
・・・と、
「俺みたいな球だね。」拍手をしていた一人が言った。
キャディさんはガクッとうなだれた。
「俺ならバックスピンで後ろに戻って入るけどね。」
もう1人も続けて言った。
「俺のバックスピンなら谷まで戻るね。」
うなだれたキャディさんは笑いが止まらなくなった。
「谷まで戻ってどーすんだよー」
「だからめったにスピンはかけないようにしてるのさ。」
・・・・爆笑。
とどめはこうだ。
「キャディさん、前の組がグリーンに乗ったらマークさせてね。俺達のショットを見せてや
りたいからさ。」
「・・・。」
よーし、見せてもらおうではないか!


2000.9.6(晴れ)
『パス』

「もう、スタート出来る?」
「出来ますよ〜」
隣のカートのキャディさんはお客様を4人、カートに乗せて出発目前だった。
そのときふとキャディさん同士の目が合った。
「絶対、抜かせませんからね!」
「・・・(笑)。ゆっくり行くわよ。」
後ろの組は2バックだった。
「あれ!?後ろ、2人?」
お客様が気づいて言ったので後ろの組のキャディさんが返事をした。
「はい、でもお二人とも70歳以上の方で・・・大丈夫です。ゆっくり行きますから。」
「年寄りかー、暑いからせいぜい倒れないようにね〜」
と、お客様は言い残し〜
「絶対、抜かせません!」
と、キャディは言い捨てて言った。(笑)
70歳を越えるご夫婦はキャディさんがびっくりするくらいゴルフが上手だった。二人とも茶店に行くまでにバー
ディを1つずつ取っていた。
「お先にど〜ぞ〜」
「・・・は〜い。(笑)」
茶店に付くと前の組のお客様とキャディさんが手を振ってそう言った。


2000.9.7(晴れ)
『緑色のアイアン』

「参りました。アイアンがサビで緑色なんですよ。」
お客さまのキャディバックをカートに積み終えてスタート時間を待つばかりのキャディさんが通りす
がりにそう言った。
「・・・サビ?でも〜なんで緑色なの?」
準備中のキャディさんは首をかしげた。
「あそこに止まってるカートなんですけどね、一番右のバックです。」
信じないなら見てきてくださいと言わんばかりに言うので準備中だったがひとっ走りして見に行くこ
とにした。
「わたしも見に行きます〜」
と新人キャディさんも付いてきた。
「お勧めは8番アイアンですよー」
後ろから声が聞こえた。
言われるままに8番アイアンをすーっと引いた。
フェイスはなんとか見た目は普通だった。スチールシャフトは赤いような黄色のようなサビが点々と
付いており〜クラブを引き抜くほどにその点々の間隔が狭くなってグリップの手前はサビで埋め尽く
されていた。
そして、問題の緑色が姿を現した。
もとは黒い色のグリップがなんと緑色のサビというか〜コケというかでコーティングされていた。
「うわっ!」
新人キャディさんは身をよじった。
久方振りにキャディバックの外の世界に持ち出されたアイアンはほこりとというか、つまりその、う
っすらと煙を出したのだ。まるでグリップから胞子が飛び出したみたいだった。
「このアイアン、煙出てますよ〜」
「なるほどね・・・」
間違いなく緑色のアイアンだった。


2000.9.8(晴れ)
『次長』

「俺の方が年が7つ下なんだけど会社では上司なんだよ。」
その人はキャディさんにそう説明した。
「次長!なんか調子出ないですね〜」
説明された人はいつもにこにこ笑っている。
ゴルフもいつもナイス・キックで乗り切っている。
「おっかしーな〜、こんな筈じゃないのに。おまえのペースに飲まれてるとしか言いようがない。」
「またまた〜、今日はたまたまですよー」
と言いながらまたもやナイス・キックでO.B.を免れる。
「・・・普通なら絶対O.B.だよ、ねえ、キャディさん。」
「・・・そうですね。」
そして6ホール目のティショットで今日、始めてのオナーをした次長は最高のドライバーを見せた。
「わ〜、ナイスショットですよー!!」
キャディさんを含め、同伴者の3人も次長を誉めたたえた。
本当にいいショットだった。
左ドックレックのロングの狙い目の左の木の右からコースなりにドローがかかって文句なしのティショ
ットだった。
「よーし、やっと当たったぞ〜」
次長の顔は満面の笑みで本人も充分満足そうだった。
そのとき・・・
「次長、あとはパターだけですね!」
「・・・。」
次長はそのままティグランドに倒れ込んだ。
笑いが止まらない。
「おまえになんか言われたくないよ!俺より7つも年下のくせに俺より若い嫁さんもらって!何処で見
つけてきたかと思ったら自動車学校で2人して仮免に落ちて〜コーヒーおごって慰めたのがきっかけ
で!」
「ええ、紙コップの60円のコーヒーだったんですよ。」
「・・・もう、いいよ!」
「吉田拓朗のファンだから産まれた子供の名前は「たくろう」」
「もう、4年生になりました。」
その後も次長と彼のやり取りは続いた。


2000.9.9(雨のち曇り)
『開場記念』

「えーっ、スライス?ほんとにスライス?」
キャディさんは左手にピンを持つとカップの右に立った。
バックピンをするときにこれくらい切れるかな〜と思うところにキャディさんは立つ。
プレーヤーはキャディさんの足にめがけてパットをすればそんなにラインが外れることはないものだ。
「ほんとに〜?いつからスライスよ〜」
とお客様が言うので
「4年前(開場して4年)からスライスしてますけど。(笑)」
とキャディさんは言った。


2000.9.10(晴れ)
『開場記念・2』

「パターの練習にでも行こうかな〜、あれ〜ボールが4つしか入ってない。」
キャディバックのポケットに手を突っ込んで取り出したボールは4つ。
「4つあれば充分ですよ〜」
キャディさんはそう言った。
お客様はこの前クラブ競技で優勝したシングルの方だった。
「そうね〜、ボールが3つも無くなったらスコアはボロボロだもんねー。」
お客様は笑いながら練習グリーンに向かった。
プレーがスタートするとキャディさんは目土に専念した。
ドライバーを打てばフェアウェイに4つ。(全てのホールがそうだったわけではないがほとんどそんな感じ)
セカンドはグリーンに乗るのでキャディさんはプレーヤーがセカンドショットのクラブを持っていくとパター
を4つ抱えて目土をする。
1人が打つ度にパターを渡し・・・ショートホールも全員1オンしかしないのでキャディさんの仕事が減る。
「よーく、働くな〜」
と誉められても「・・・だって、他にすることないんですもん。」とキャディさんは苦笑いした。


2000.9.12(晴れ)
『ミズノ300E』

「おっ、当たったね〜!」
「すっぽんだもん。」
「・・・すっぽん?ですか?」
キャディさんは頭をひねった。
お客様のドライバーはミズノの300E。
去年、クラブ・オブ・ザ・イヤーに輝いたミズノ300Sの後に出たモデルだ。
どちらもずごく人気のあるクラブだが上級者は300Sを使用する方が多い。
「この前ね、ハンディキャップ1の人に300Sと300Eではどんな風に違いますかぁ?
って聞いてみたんだ。その人は300Sを使ってるんだけどね。」
同伴者とキャディさんは聞き入った。
「そしたら”月とすっぽんさ”って言われちゃった。(笑)」
「・・・はあ、それですっぽんなんですか。」
皆、納得して苦笑した。
でも300Eも素晴らしいショットが出るぞ!


2000.9.13(曇りのち雨)
『バックスピン』

雨の日のピンの位置は高いところに切ってある。
6番ホールのグリーンは「おわん」を伏せたような形をしていて真ん中が小高くマウンド
になっていた。ピンはマウンドのてっぺんに切ってある。
「上りも見て120ヤードです。」
そしてキャディさんはお客さまに9番アイアンを渡した。
いいショットだった。
わずかに見えるピンにまっすぐと向かっていった球は2、3度跳ねたようにも見えたがいい
感じじゃないかな、と思わせた。
「よーし!バーディチャンスだっ!」
「止まってればですね〜」
キャディさんは笑いながらわざとそう言った。
「止まってるさ!だってスピンかけたもん!」
お客様も負けずに言った。
砲台グリーンなのでセカンドの位置からではどれくらいピンにからんでいるかわからない。
グリーンを見てからのお楽しみだ。
「あれ〜!俺のバーディパットを待ってるはずのボールがない!」
ピンの30センチ横に確かに今出来たばかりのボール・マークがあった。
キャディさんはそれをフォークで修理しながら〜
「かかってなかったみたいですね〜、スピン」
と言った。


2000.9.14(晴れ)
『叔父』

「いくつになったか?」
キャディさんは罰の悪そうな顔をした。
今日のお客様は自分の叔父だった。
メンバーなので来るなとも言えない・・・。
「2Xです。」
「遅い。」
「・・・。遅いって・・・?」
「まだ結婚してないのか。」
顔を見る度にこの話。
だから付きたくなかったのだ。


2000.9.15(曇りのち雨のち晴れ)
『敬老の日』

今日のコンペは参加者のうち、60歳以上の方はプラス・ハンディをもらうことになっている。
「なんで、なんで?」
「ただでさえ負けるのにな。(笑)」
違う組の方をうらやましそうに見ては口々にスタート前に好きなこと言っては笑っている。
「ねえキャディさん、今日のコンペはなんであの方は”プラス・ハンディ”なの?」
お客様がたまらずキャディさんに聞いてきた。
「敬老の日だからです。」
「・・・あ、そういうこと。」


2000.9.16(晴れときどき雨)
『キャディさんVSお客様』(超・大作です。)

まあ、色んな人がいるものだ。
それにつきる。
・・・
「あ、また会ったね!」
お客さまの1人がキャディさんの顔を見ると笑顔で言った。
「?」
キャディさんは忘れているが以前付いたことがあったのだろう。
お客さまはにこにこ笑っていた。
悪い印象でもなかったらしいのでキャディさんは(今日もいいお客様に付いて良かった)と
思いながら一日が始まることになった。

スタートして2ホール目のグリーン。
グリーンの左の「カラー」にボールがあった。
キャディさんはしっかりとボールを見て、(これはカラーだからボールは拭かない)と仕事
の順番を決めていく。2オンに失敗した3人が次々にアプローチでピンに寄せてくるのでキ
ャディさんはパターを渡したり、ボールを拭いたり、ボールマークを修理したり「カラー」
の人はすでにパターを持っていたのでキャディさんはその人がカラーから打ってくれる間に
色んなことを済ませておきたかった。
キャディさんはマークしてボールを拭いているところだった、視界に「カラー」の人が入っ
た。ボールを拾い上げると芝の上でボールを拭いてもとに戻した。(たまにいるんだよね〜
こういう人!まったくルールも何もあったもんじゃないんだから)キャディさんは心の中で
呟いた。
カラーはグリーンではないのでボールを拾い上げることは出来ないのだ。
インプレーの球を拾い上げるとペナルティが付く。
プレイヴェートなコンペだったが誰も何も言わないのでキャディさんも敢えて何も言わない。
キャディさんはボールを拭き終えると今度は別のお客様とラインを見ていた。
「ちょっと待って!ここって”カラー”?」
何を思ったかの突然、「カラー」の人がそう言った。
「はい、カラーですよー」
「だからキャディさんがピンを持ってなかったんだ。」
って、あんた今更何を言ってるの?カラーなんだからピンを持つわけないじゃん。早くグリー
ンに乗せてもらわないと先に進まないんだから早く打ってちょうだいよ。
キャディさんにしてみればこんな感じだろう。
「なんで早く言わないんだっ!俺はノータッチでやってるんだ、馬
鹿野郎!」
「・・・。」
一体何が起こったのだろう。
キャディさんは一瞬にして危機的な状況に陥ってしまった。
「ここはグリーンじゃないのかっ!だったらなんで言わないんだ、拾い上げてしまったじゃな
いか!」
(それはさ〜つまり、あんたが勝手に拾い上げてしまったわけで〜カラーに乗ってるからって
いちいちカラーですよなんて言うわけないし、自分でボールまで拭いておいて今更「ノータッ
チ」って言われてもねー。)
「ここは何だ!これがカラーじゃないのか!」
ベントグリーンの周りにベント芝の「カラー」があり、切り込みを入れてその周りにコーライ
芝の「エプロン」が配置されている。
よくよくみると「カラー」がグリーンの周りに2つあるように見える。
しかし、「カラー」は「カラー」なのだ。
グリーンとの芝のカットも違うし、色も違う。
それを説明したがわかってくれる人ではなかった。
「どうなるんだ!ペナルティはいくつだ!いくつ足せばいいんだっ!」
「インプレーの球を拾い上げた場合は1打罰です。」
「ああ〜、そうか、俺のスコアに1打足しておけっっ!」
その人はキャディさんの顔を睨み付けると同伴者に言い捨てた。
次のホールに行ってもその人はぶつぶつと言い続けた。
「ちょうどグリーンとカラーの境目だったんだよ、グリーンにかかってたんだ。」
(よく言う!何がグリーンにかかってただ!だいたいグリーンエッジに球が触れていればグリー
ンにオンしてると見なされるのでキャディさんは必ず球を拭く。わたしが球を拭かなかったのは
エッジに触れてもいなかったからだ。完璧にカラーの上でしたっ!)
キャディさんは愛想良く他のお客様にクラブを渡しながらお腹の中は煮えくりかえっていた。
それに、ふとあることに気が付いた。
自分でエッジにかかっていたと言い切るくらいなら何故同伴者に「1ペナ」加えるように言うの
か?罰打はいらないじゃないか!馬鹿野郎ですって?人に言うくらいならルールの勉強くらいし
て来いっていうのよ!)
・・・
2番ホールの出来事が過ぎてからキャディさんは慎重にまわった。
(何事も起こりませんように。)
しかし、このままでは終わる一日ではなかった。
6番ホールではさらなる出来事が待ち受けていた。
全員無事にティショットを終えてカートでセカンド地点に向かった。
1人だけ左の斜面のラフに球が飛び込んだのでキャディさんはそのお客さまと球探しをしている
ところだった。
3人の球はフェアウェイに並んでいる。
距離も登りを入れても120ヤード程度で何の問題が起こるような状況でもなかったのだ。
球探しをしてる間に例のお客様がセカンドショットをした。
キャディさんはショットをしてることに全く気が付いていなかったが気にもとめていなかった。
別に後ろのこのお客さまをおいて先にショットをしてもらってもかまわない。グリーンは砲台グ
リーンなのでショットをしても球はピンにどれくらいからんだかわからないし、見てないからと
いって球がなくなるわけじゃない。
フェアウェイの3人は互いのショットを見ていたし、それよりグリーンの左側にはコース管理の
おじさん達が4人で芝を張り替える作業をしていた。カートをとめているところから100ヤード
くらい先で何かあったら教えてくれるだろう。
と、キャディさんはたかをくくっていた。
斜面のお客様は結局一度フェアウェイに球を出し、それから3オンを狙うことになった。
無事に3打目はグリーンに乗って行ったので4人とキャディさんはカートでグリーンの側までや
ってきた。
「お疲れさま〜」
コース管理のおじさん達に挨拶するとキャディさんはパターを4本持ってグリーンに向かった。
お客様はそれぞれ自分の球のところに向かって歩いている。
その直後、まるで笑えない椅子取りゲームのような事態がグリーンで起こった。
それぞれのお客様が自分の球のところに立っていたが、1人だけあぶれている人がいるのだ。
「えっ!?」
キャディさんは1人ずつにパターを渡してまわったが残ったパターは例のお客さんのパターだけ!
(何で球がないのよ!・・・・しかもこの人の!)
「確かにこの辺に飛んできたんだよ!」同伴者のお客様が2人とも見ていたのに行ってみるとある
べきところに球はなかった。
「すみません、この辺にボール来ませんでした!?」
「・・・来てないよ。」
というのがコース管理のおじさん4人の答えだった。
(なんですって!球がない?)
慌てふためいたキャディさんは自分が見ていたわけではないが球の行方を聞いて他のお客様ととも
に球探しを始めた。そんなに広い範囲ではなかったし、なくなるなんてことはありえないかったの
ですぐに見つかるだろうと思っていたら探しても探して球は見つからなかった。コース管理のおじ
さんも手伝ってくれた。9人の大捜索が始まった。
球探しは普通5分だったがそれ以上の時間をかけてみんなで探した。
それでも球は出てこなかった。
同伴者が「ロストにするしかないな〜」と言うのでやっと諦めてプレーを再開することになった。
すでに球探しのときからキャディさんは生きたこご地がしなかったがロストの場合の処置は「球が
紛失した場合にはプレーヤーはその球を最後にプレーした出来るだけ近くで、1打罰を加えてプレ
ーしなければならない」その人はセカンド地点でショットをし直してグリーンに乗らず、再びアプ
ローチをしてオンした。
そして、さらなる地獄はここからが本当の始まりだった。
1パット目はオーバー、返しもオーバー、そしてお先がカップで蹴られ、「あれ?」とここまでは
本人もまだ笑う余裕があった。4パット目は片手で打った。
「・・・。」
カップに蹴られた。
5パット目、・・・・再びカップに蹴られた。
「・・・。」
キャディさんと他の3人のお客さまは固まった。
当の本人は「切れてる」ことをあまりにも行き過ぎていた。
このホールのスコアは11だ。5オン、6パット。
こういうときのプレーヤーはたいがいスコアを数えていない。というか、もう数え切れないのだ。
(頭に血が上りすぎて自分が何をしているのかもわからなくなる)
一番最後にグリーン乗ったのに自分だけ先にパットを終えたその人はキャディさんと同伴者を残し
てパターを持ったままカートに向かって1人で歩いて行った。
ガチャッ
怖〜〜〜〜ッッ!グリーンにまで聞こえてきた。
それは紛れもなくパターをカートのパター入れに叩きつける音だった。
キャディさんとしてはそのお客様はそんまま帰ってしまってもおかしくないと思っていたがグリー
ンを終えて大きな木に隠れたカートに戻ってくるとその人はカートに座っていた。
無言の4人のお客さまをカートに乗せたキャディさんはコース管理のおじさん達に見送られて次の
ホールに向かった。
ティグランドに着くとその人はカートから降りずにキャディさんにこう言った。
「キャディさん、今のホールいくつ叩いたか
俺のスコアを数えておけっ!」
「11です。」
「・・・。」
キャディさんとしては聞かれたことにすぐに答えただけだったがどうもそれがまずかったらしい。
お客様はカートから飛び降りるとキャディさんに向かって捲し立てた!
「人のショットを数えてる暇があったら
ボールくらい見とけーっ!」
(そんな勝手なことばかり言う。人がボールを探してるときに勝手に打ってたのはそっちでしょー!
なんなのよ、この人はっ!それに人が数えてあげてたのに何よその言い方は!いい加減に人のせい
にばかりするのはやめてよーっ!)
キャディさんは仕事を探して無視した。この程度で負けるわけにはいかない。
それにさっきスコアをすぐに答えたのはわざとなのだ。
キャディさんはこのお客さまと戦っていた。ここまでひねくり曲がったこのお客様に負けるわけに
はいかなかった。
それにキャディさんはあれだけお客さまが怒ってるときに火に油を注ぐようなことを平気で言うの
はなんともなかった。逆にもっと言ってやりたいくらいだった。
(多分、Nちゃんならこのままケンカして帰るだろうな〜、Sちゃんならとっくに泣いてるね。)
キャディさんは仲間のキャディさんの顔を思い浮かべながらそう思った。

この人以外のお客さまはとてもいい方達だったのでここまで来る間にキャディさんとお客さまは充
分仲良しになっていた。時折降り出す雨のときは誰かしらがキャディさんが雨に濡れないようにと、
一緒に傘に入れてくれたり自分のパットが終わるとすすんでピンを持ってくれたりしてキャディさん
を助けてくれた。
特に朝声をかけてくれた方は「なだめ役」であのお客さまが怒り出すと必ず後からなんらかのフォロ
ーをしてくれた。
やっと9ホールが終わると20分の休憩が入った。
後半も同じお客さまに付かなければならない。
後ろの組のキャディのMちゃんが帰ってきた。
「◯◯さんってお客さんどうです?」
「!?なんで知ってるの?」
「だって、うちのお客さんが多分前の組のキャディさん切れるよって言うんですよ。」
「・・・あら、じゃあ、そういう人なんだねー。」
「気を付けてくださいね。」
「さんきゅ〜」
小さなことだがキャディさん同士でお互いの組のお客様の情報交換が行われる。
さ〜って、後半戦だ!

スタートホールは順調だった。
例の人は「パー」で次のショートホールはオナーになった。
ティグランドには女性用のの赤いレディースティと70歳以上の方用のゴールドティとそしてレギュラー
ティの白いティマーカーが3つ並んでいた。
キャディさんが距離を伝えるとそれぞれ自分たちでアイアンを抜いてティグランドで前の組がホールア
ウトするのを待った。
オナーのその人はティアップした。
「ああっ、ち、違うとこにティアップしてます〜!」
キャディさんは同伴者の「なだめ役」の方に慌てて本人に聞こえないような声で言った。
「おい、間違ってるよ、ティアップするとこ。」
「なんだって!」
よく見るとゴールドティにティアップしてることに気づいたその人はレギュラーティにティを差し直し
た。そしてまた1人で怒り出したが
「自分で間違ったことにカリカリしちゃいかんな。」
そしてそう呟いたのだ。
「わかってるなら人のせいにするよ〜」
「なだめ役」の方が言った。
「俺は”隠れシングル”だからルールとかにうるさくて、ついな。でも、本当のシングルならあれくらい
じゃすまなかったよ、キャディさん。」
「・・・。」
あごが外れそうだった。
(誰が”隠れシングル”だ?本当のシングルなら、カラーとグリーンの区別なら付くだろうし、球が見つ
からなくても人のせいにはしないだろうし自分の球は自分で見てるだろうし、だいたいわけのわかんない
ことでキャディに当たる人はあんまりいない。)
「隠れシングルじゃなくて〜隠れキリシタンなんじゃないかー?」
「なだめ役」の方が言い返した。
キャディさんはおかしくって吹き出した。
初めてキャディさんとお客様4人と全員で笑った。

キャディさんはイヤなお客様でも仕事の手は抜かない。
逆にそういうお客さまには「これでもか!」というくらいに尽くすことにしている。
同伴のお客様よりも早く「ナイスパー!」と大きな声で言うとか、クラブを持って行くときもただ「どう
ぞ」と渡すわけじゃない。「お待たせいたしました、どうぞ」だ。とにかくこれでもか!というくらいに
全てにおいてサービスを怠らない。
いつかお客さんの方が根負けする。
インコースに入って前半のあのイヤな態度が一変した。
茶店に寄ったときにはあの人がジュースまで買ってきてくれた。
「ありがとうございます。」
キャディさんはお客様の顔をよく見ていなかった。「なだめ役」の方だろうと思って顔を見るとあの、例
の”隠れ・・・・”さんだったのでびっくりした。
「キャディさん、これで機嫌直してね。」
「・・・はあ。」
この変わり様ったらどうしたことだ。
後ろの組のキャディのMちゃんも追いついてきた。
「どうです?」
「今、ジュースもらっちゃった。」
「ひえーっ、本当ですかー?」
Mちゃんはびっくりして素っ頓狂な声を上げた。
「わたしなんか〜すぐに切れちゃって駄目なんですよね〜。やっぱ、違うな〜」
「何が違うのよ、充分わたしだって切れてたわよ〜」
「でも〜違うんですよ〜、わたしなんてこの前お客さんに”おまえ、支配人に言いつけてやる!”って言わ
れてー。あったまにきて”言えるもんなら言って見ろ!”って言っちゃったんですよねー。」
「・・・・マジで?」
「ええ、それでそのお客さん本当に支配人に言っちゃって〜後で支配人に呼ばれちゃいました〜」
「・・・。」
上には上がいるもんだ。


2000.9.17(晴れ)
『球の行方』

「お久しぶりです。」
「おう!久しぶりだな〜」
メンバーのFさんはとってもお洒落で夏は汗くさいのが嫌いで香水までつけている。
2番ホールのティショットは右にふけってあわやO.B.かと思われたが斜面に当たって
フェアウェイの真ん中まで転んできた。
「よく言うこときくな〜」
同伴者が笑いながら冷やかした。
「おう!うちの嫁より言うこときくぜ!」
って、おいおい・・・!


2000.9.19(晴れ)
『長嶋茂雄・3』

クラブハウスの玄関に紺色のベ◯ツが滑り込んで来た。
「キャディバックは送ってあるからいい。これだけお願い。」
と車のウィンドウを開けて顔を出したのはドカベンさんだった。
キャディさんたち2人は着替えの入った鞄とシューズを預かると
「車、替わってるねー。」
「うん、綺麗なベ◯ツになってるー。」
と顔を見合わせた。
お客様のクラブやキャディバック、車にいたるまでいつも来るお客様だとつい覚えてしまうのだ。
荷物を下ろすと車は駐車場に向かって動き出した。
その後ろ姿を見送っていると車のトランクの鍵穴のとなりに白いペンで書いた文字が見えた。
「長嶋茂雄・・・」
「3・・・だって。」
キャディさん2人は鞄とシューズを持ったまま、また顔を見合わせた。
「あれって長島監督のサイン?」
「だろうね。」


2000.9.20(晴れ)
『みかん』

茶店に着いた。
「ああ〜お腹減ったー」
口々に空腹を訴えて茶店に入るお客様の中で1人だけ反対方向に向かう者がいた。
お手洗いとも方向が違う。
「これが上手いんだよな〜」
って、それは茶店の前に植えられたみかんの木。
「えーっっ!まだ青いですよー!」
キャディさんはびっくりして声を高くした。
「これくらいがちょうどいいんだよ、あー甘い、甘い!」
絶対甘い筈がないとは思っていても甘そうに食べる人を目の前にしては食べずにはいられないと言うものだ。
でも、みかんってこんなにまだ青いのよ!?
試しにキャディさんも一つもいで食べてみた。
口の中に入れたみかんときたら
「すっぱぁーっ」
「甘いだろ?まだ誰にも言うんじゃないぞ、もう食べれるってことを。すぐなくなってしまうからな。」
・・・言わないよ〜、食べれるなんて!
それにまだ誰も食べやしないよ、こんな青いみかん!




2000.9.21(曇りときどき雨)
『錯覚』

「下りですからあんまり強くないほうがいいと思います。」
お客さまにラインのアドバイスをしながらカップを挟んで反対側に球のあるお客様のボール
を拭いていたキャディさんは「あああっ」・・・口をパクパクさせた。
下りだというのにそんなに打ってはまた同じくらいカップをオーバーしてしまった。
「早いな〜」
感心している場合じゃないんですけど。
次はキャディさんが球を拭き終えてボールを渡したお客さまの番だった。
アドレスに入ってパターを球の右側に添えた途端に
「キャディさん、ここは上からも下りで下からも下り?」
とわけのわかんないことを言ってきたのでさあ、大変。
「・・・なんで下からも下りなんですか!下からだと登りに決まってるじゃないですかっ!」
「っだよ、おまえ何言ってんだよ!」
同伴者もたまらず口を出した。
「錯覚かな?」
お客様はパターを両手にもったまま頭を振った。
「疲れてるかな、俺。」
そうかもしれない。(笑)


2000.9.22(曇り)

『でるんだ』
バンカーに入るとお客さまは「でるんだ」を取って!と言った。
「・・・。あのーっ、クラブ、違う方のですけどいいんですかーっ!?」
お客様は自分のキャディバックの隣の人のクラブを持ってこいと言うのだ。
「いいからー、「でるんだ」持ってきて〜!」
「は〜い。」
全く自分のサンドウェッジじゃなくて人のを使うなんて。(本来はペナルティが付く)
「DERUNDA」と刻まれたそのサンドウェッジの名前は「でるんだ」という。
アプローチウェッジの「よるんだ」もある。
お客様はバンカーに入る度に「でるんだ」を持ってくるように言った。
自分で買えばいいのに、キャディさんはそう思いながら毎ホール「でるんだ」を持って走った。


2000.9.23(はれ)
『アラブ帰り』

「キャディさん、見て。」
お客様は朝一番に顔を合わせた途端、かぶっている帽子を自分で指さした。
「?」
「もう、わかんないかな〜。わかんないだろうな〜”アラビア語”だからな〜」
「?」
キャディさんは相変わらず言っていることがよくわかならないという顔をした。
「2週間ほどアラブに行ってて、2日前に帰って来たんだ。」
「はあ。」
お客様のかぶっている帽子にはなにやらミミズののたうち回ったような見るから
に英語とはことなる文字が踊っていたが”ドバイ”と書かれた文字だけは英語だった。
「ああ、砂漠が俺を呼んでいるぜ!」
と打ったティショットはバンカーだった。
「呼んでる・・・みたいですね。」
キャディさんはおかしくって、笑いながらそう言った。


2000.9.24(はれ)
『倶楽部選手権・予選ラウンド』

倶楽部選手権は倶楽部の3大競技の中でも一番名誉のある競技であろう。
ハンディ・キャップは関係なく、本当のスクラッチ競技だからだ。
ハンディ「1」も「10」も同じ条件で戦う。
選手もキャディも一打一打の重みをこのときほど強く感じることはない。
全員が真剣勝負でピリピリとした緊張感がその場の空気を包み込んでいる。
「ああ、焼き肉食いてぇー」
ずるっ・・・・キャディさんはロングホールのセカンド地点でスプーンを
渡しながらのけぞった。まるで緊張感ゼロの発言だ。
「・・・まだ試合の途中ですよ!」


2000.9.26(はれ)
『O.B.』

最終ホールのティグランドに来た。
「さぁ〜て、そろそろ球の補給でもするか。」
オナーがティショットをしている間にキャディバックをゴソゴソしていたお客さまは
ポケットに予備の球を入れると自分の番に左にひっかけてO.B.した。
「ちょっと〜、おじさん何してんの!」
先に打った同伴者が両手を腰にあててため息を付いた。
「ほらな、やると思ったんだよ。」
そう言ってさっき入れたばかりの球をポケットから取り出した。
キャディさんはあまりのタイミングの良さに「さっき、ボールを入れたりするからで
すよ。」と笑いながら言ったが、暫定球は右にO.B.してまた球が必要になった。
皆の視線が1人に集まる。
「ちゃ〜っと持ってるもんねー。」
お客様はまたポケットから球を取り出した。
が、再び右にO.B.した。
「畜生!またO.B.!?」
お客様のポケットからまた球が出て来た。
3球目だ。
「あんたいっぱい持ってるねー。」
皆笑いながら何かを期待している。
「ああっ!」
「・・・もう1球お願いします。」
キャディさんは笑いをかみころすのに精一杯だ。
同伴者は人のO.B.連発にゲラゲラ笑っている。
「くっそーっ!またO.B.かっ!」
お客様は腰を曲げると再度球をティアップした。
「おおー、まだ持ってるの!」
全員目をまるくして大爆笑した。


2000.9.27(はれ)
『柿の木』

ティグランドの横に大きな栗の木と柿の木が並んでいる。
ときどき柿ちぎりに夢中になるお客様がいるが今回は夢中になりすぎて、柿の木の枝にドライバーを引
っかけてしまった。
「うっ、しまった〜キャディさん、アイアン持ってきて!」
確かにミドルホールはドライバーの次はアイアンでいいと思うが、まだティショットをしたわではない。
キャディさんは一番長い3番アイアンを抜くと柿の木の根本に向かった。
「・・・。」
キャディさんは空を見上げて「こほん。」と喉を鳴らすと「次は何番にします?」
とお客様を促した。
柿の木の枝にクラブが2本ぶら下がっている光景はめったに見ることは出来なだろう。
そこに後ろの組のカートが追いついてきた。
「何してんの?」
後ろの組のキャディさんがいぶかしげな顔をした。そして、視線は柿の木の方に移る。
「・・・。あれ〜、この木はクラブがなってたんですかー。知らなかった〜」


2000.9.29(あめ)

『マナー』
「キャディさん、僕始めたばっかりだからよろしくね!」
「は〜い。」
お客様は朝から冗談を言っている、とキャディさんは思っていた。
キャディバックにしてもクラブにしてもゴルフを始めたばかりのお客様だとピカピカ
だっだり極端に使い古していたり、それとなくわかるものだ。
スタートしてもドライバーはよく飛ぶし、なんの問題もないじゃないかと思っていた
が同伴者がティグランドでアドレスに入るときにやたら話かけるのをやめないのはわ
ざとだろうと思っていたがキャディさんが口に手をあてて「しーっ!」とやると「?」
なんかいけないことをしたのかな?という表情をするのでアドレスに入ったら音をた
てたり騒いだりしてはいけないということをわかっていないのだということが分かっ
た。
それからグリーンにタバコを持ち込む。
自分のボールマークを直さない。
人のラインのを踏む。
ピンが立ったままなのにパットをしようとしたり、ゴルフを初めて5ヶ月にしてはプ
レーはとてもスムーズなのだがマナーがなっていない。悪い人じゃないだけにとても
もったいないような気がしていた。
「ゴルフ始めて5ヶ月にしてはいいでしょう?」
キャディさんはそう問われてなんと返事をしたらいいのか一瞬困ってしまった。が、
「ゴルフ場に来る前にルールブックのマナーのところを読んで来い!」
と同伴者の中で一番年長者のお客様が一喝した。
誰もが通る道・・・かな。




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