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今日のお客さま。
1999年〜ゴルフ場で見たお客さまの珍プレー、好プレー、面白ギャグをキャディさんの実況中継でお届けしています。読むだけでルールやマナーも学べて一石二鳥。キャディさんからお客さまに云いたいことは「人の振り見て我が振り直せ」。今日は一体どんなドラマが展開されているのでしょうか。

【ご注意】いかなるゴルフ場とも一切のかかわりはありません。また、このお話はフィクションですがプレーヤーを非難・中傷するものではありません。

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2000.1.2(はれ)

『初打ち』
とても冬とは思えない天気。
年末から九州地方は暖かい日が続いていた。
風さえもいつもの寒い北風ではなく暖かい風が吹いている。
2000年、初のお客さまは・・・。
◆◆◆
「具合悪〜。」
お正月ですもの。
「キャディさん、僕、飲み過ぎです。」
「・・・見ればわかります。」
「わかる〜?」
「顔、青いですよ・・・。」
「昨日から、飲み過ぎで〜でもね、飲んでないとよけい具合が悪くなるような気がするんだけど・・・
それは気のせいかなぁ。」
・・・わけわかんないこと云ってる。
レフティのお客様の今年一番のティショットは〜左にふけってO.B.だった。
「きれいなスィングしてるのになぁ〜。」
「・・・。」
この一言で皆、笑い出した。
「わかってるんなら、ちゃんと打てよー」
同伴者から、激が飛んだ!
「どーしてかなぁ、せっかくNewボールとNewグローブを出したのに〜」
お客様は真新しいグローブをもう一度ポケットから取り出すと
「これさ〜、この間オーストラリアで買って来たんだぁ。」皆がへぇ〜っとばかりにグローブを見つめた。
「オーストラリアってところはあんまり輸入製品がないところだからさ、間違いなくメイド・イン・オース
トラリアのグローブなわけよ。」
ほーぉっと、皆が頷く。
彼はブローブをひっくり返すと・・・
「ほらね、メイド・イン・ベ、ベトナムって。」
「・・・。」
一同、静まりかえった。
そして次の瞬間、笑いが止まらない。
「おまえなー、適当なこと云ってないで、さっさと暫定球打てよー!」
再び、容赦ない激が飛んだ・・・。


2000.1.3(はれ)

『給油口』
年が明け、玄関には大きな門松がお客さまを迎えている。
朝早くても、車は次々に入ってくる。
停車した車のトランクから運び出されるキャディ・バックの数々。
ボストンバック、ショーズケース・・・
たちまち荷物であふれる玄関。
そこに一台の車が停車してカッパッ!
と、目の前で勢いよく給油口を開けた。
「・・・。」
お客さ〜ん、ここガソリン・スタンドじゃないんですけどー。
給油口を閉めると再び給油口が開く。
「・・・。」
お客さ〜ん、後ろも車が詰まってるんですけどー。
給油口を、また閉める、途端にカパッ!と開く・・・
違うっちゅうに。
「す、すみませーん。どうやたらトランクが開くんでしょうか?」
「・・・。」
自分の車だろーがっ。
人に聞くなよー。


2000.1.4(はれ)

『毎日・・・』
最終組の後ろは27ホールをラウンドするお客さまがキャディを付けずにセルフで来ていた。
よーく、顔を見ると昨日もいらっしゃっていたお客さまだったので
「こんにちは〜、今日もいらしてたんですね!」
とキャディさんは云った。
「今日も、って云った?」
「・・・?」
「明日も来るからねー!」
「・・・。」
そーいうことか・・・。
そいうえばこの人たち・・・年末から毎日来てる。。。


2000.1.5(くもり)

『お年玉』
「今日、1日このボールが無くならなかったら・・・お年玉を上げる。」
えっ?お年玉???
キャディさんはお客さまの顔を見上げた。
「こちらには何度かいらっしゃったことは?」
「はじめて来たよ、宜しくね、キャディさん。」
「・・・。」はじめて来て、球を無くさずに帰れるものか。
っと、キャディさんは密かに心の中で呟いた。
しかし・・・プレーは順調に進んだ。ハーフは無事終了、休憩を挟んで後半の16番ホールにして、つ
いにO.B.が出た。あと2ホールでお年玉だったのに。
「ああ、キャディさん、無くしちゃったぁ。」
「はい・・・。」
ガックリ。
お客さまは18ホールをプレーされてお帰りになった。
しかし・・・チェック・アウトされるときに
キャディさん宛に預けものをされていたのだ。
真っ白い、お年玉入りの封筒を!


2000.1.7(くもり)

『アゲンスト』
年が明けてから、こんなに寒い日は初めてだった。昨日までのポカポカゴルフ日和はどこへやら。
身体の芯から冷え込む1日となった。なんと云っても風がすごい。
北から吹き下ろす風はショート・ホールでまともに谷からのアゲンストになる。
レギュラー・ティから200ヤードのショート・ホールは立ってられないくらいの風だった。
「ピンまでちょうど、200ヤードでーす。(笑)」
笑うしかないくらいにアゲンストだ。
1クラブとか2クラブ程度番手を上げても無理だろう。
「・・・わぁ、アイアンですか、何番ですか?」
プライヴェートなのでお互いにクラブの番手を聞き合っている。
「3番アイアンですよ。」
彼は格好良く素振りをしてみせた。
「へえー、3番で200ヤードですか!?」
聞いた同伴者がびっくりしてそう云った。
「当たったら200ヤードとは云わんでしょう。
・・・250ヤードくらい飛びますよ。」
嘘云うな!
「へーっ!そりゃ凄い!」
「・・・。」
信じるなよ・・・。


2000.1.8(くもりときどきはれ)

『シングル』
4人ともシングルというのは気持ちいい。
しかも、片手だと得にいい。
おまけに全員メンバー。
何も云うことはない。

ティ・ショットの球の行方を見て〜
セカンドの距離を見て〜
パッティング・ラインを読んで〜

茶店に寄っても・・・
ゆっくりいいですよと云ってるのにすぐ出てくる。

「シングルって云ってもね、スコアはそんなにかわんないもん。あとはマナーだよね。
ハンデが30、40あってもマナーがいい人は素晴らしいと思わない?」
全くその通りだ。
久々にゴルフしてる人たちを見たような気がした。


2000.1.9(あめ)

『プロ』
わたしがキャディの仕事を覚えるためにキャディ研修をしてもらったプロが2人いる。
そのうちの1人が去年九州オープンで優勝した金城プロだ。
月に一度の研修会にプロは呼ばれて来た。
スタート・ホールのティ・グランドは人だかりで溢れかえった。
皆、プロのスィングを見るためにやってきた。
わたしは、まったくゴルフのゴの字も知らないときに毎日プロとラウンドに出て球を見る練習からやった。
あの頃は早くて球もよく見れなかったが今日はプロの球がはっきり見えた。
第一打は右斜面を越えてO.B.だったけど暫定球は2オン2パットでロングホールはボギーに。
相変わらずよく飛ぶ。
後半に入ると連続3バーディ・・・
うーん、さすがプロだ。
「やっぱり、アマチュアとプロは、違うなぁ。」
同伴者の一人が呟いた。
やっぱり・・・というか全然違うというか・・・。


2000.1.10(くもりのちはれ)

『おじいちゃん』
70過ぎのおじいちゃんを2人かかえキャディさんは今日は、前の組に付いていけるかなぁっと
ちょっと心配していた。
しかし、カートなので打ったらカートに乗ればいい。
お年寄りがいてもその点は安心だ。
打ったらカート。
打ったらカート。
作戦は成功した。
成功し過ぎて、前の組を待たなければならなかった。
おじいちゃんたちは飛ばないけれど曲がらない。
確実に3オン、4オンで3パットはしない。
前の組は必ず4人が同じところにかたまっている。
「あれは何をしとるんじゃ?」
「早く打てばいいのになぁ、人の球なんか見なくていいのに。」
「相談しとるんじゃろーなぁ。会議かもしれんぞ?4人で」
フェアウエイで会議・・・そうかもしれない。


2000.1.12(くもりときどきあめ)

『インフルエンザ』
いくつも会社を持ってる会長のおじいちゃんは73才になるけどとっても元気。
気難しい顔をしてるけど、とっても可愛いのだ。
「うっ、このカップはちーさかとじゃなかねっ!オレの球はひゃあ〜らんやんね!」
お年なだけに佐賀弁もすごい。
「ふーけとーもんね、オレの球は。いっちょん、飛びゃ〜せん。」
まあ、こんな感じ。(笑)
途中まで元気な会話を続けていた会長のおじいちゃんは茶店過ぎから急に黙り込んでしまった。
「会長、どうかされましたか?」
同伴者が心配して声をかけた。
「昨日まで風邪で寝込んどったけんが、どーも、いかん。」
「それはいけませんね、なんでもヨーロッパの方ではインフルエンザで死んでるとか。」
「き、きみ!会長に向かって縁起でもない!」
「あっ、し、失礼しました!」
深々と頭を下げて謝ったけれど
「ワインを用意させるから飲んでちょうだい。」
会長は3人にそう云うと
ハーフ終了すると身体の不調の為に帰った。
お大事に。
・・・その後にはベロベロにワインで酔っぱらった3人が
キャディさんを待っていた。


2000.1.13(くもり)

『素振り』
「キャディさん、こいつ、150くらいの世界の奴なんですよー、頼みます!」
「え?」
そんなの頼まれても・・・キャディさんはニヤ〜っと笑う青年に目をやりながら内心、冷や汗をかいて
いた。でも、プレーが始まると青年は走った。クラブを持って、一生懸命走った。
「なにもそんなに急ぐことないですってば!わたしたち、2バックで、後ろは30分も空いてるんです
から!」
そうなのだ。
全然、余裕なのだ。
しかし、青年は走った!
そして球がバンカーに入った。
「・・・。」
ショットをする青年を見ながらキャデイさんはグリーンのディボットを修理していた。
修理しようと腰を落としたときだった。
キャディさんの視界に何か異様なものが映ったのだ。
・・・素振り?
腰を落としかけたキャディさんは立ち上がった。
「い、今、素振りしませんでした?」
「え?」
青年はバンカーにいた。
「素振り?ええ、なにか?」
「・・・。」
あちゃ〜。
「素振り・・・しちゃいけないんですよね、バンカーって。」
「えーっ!」
「ソールしちゃ、いけないんですよね。」
「ソールって?」
「・・・。」
ハザードでソールしたら2ペナなんだよね。


2000.1.14(くもり)

『プロ野球選手』
プロ野球ってあんまり知らないもんで・・・。
どんな選手がいるかとかも、よく知らないもんで・・・。
西武の伊藤さんって・・・
すっごく、飛ぶし、
上手いし、格好いいし!
いや〜、いい方でしたぁ。


2000.1.15(はれ)

『拍手』
192ヤード、谷越えのショート・ホールだった。前の組が後続組に打たせていた。
ピンはエッジから42ヤード奥だ。縦に47ヤードあるグリーンの一番奥と云ってもいい。
そこへピタっとピンの真後ろに付けたお客さま。
グリーン側で見ている方たちの前で自分の組のお客さまがピタっと乗せてくださるのはとても嬉しい
し、ちょっと鼻高々になる・・・。
2番目に打った方もピンの右、1ピンくらいに付いた。
「ナイスオ〜ン!」
またしてもキャディさんはニタっと喜んでいた。
3番目の方は少し手前だったけれどグリーンに乗せた。
手前と云っても10ヤードも20ヤードも離れているわけじゃない。
この当たりで何かが変だということに皆気が付いた。
これだけピンに近いところに付けているのにグリーンで待ってる前の組の方たちが一切拍手をしないの
だ。4番目の方もピンの近くに乗せた。
ハッキリ云って、ピンのまわりに4つも球が付いている・・・
結構、スゴイことなんだけど・・・
なんで拍手しないわけ?
「キャディさん、前の組はマナーを知らないね。」
「そーだよ、誰も拍手しない。」
「なんか、失礼だよね。」
「目の前でベタベタ乗せてるのにさ〜」
「・・・。」
まったく、そのとおりだ。
拍手してくださったら、
こちらのお客さまも帽子を脱いで返すというのに。


2000.1.16(くもりときどきこさめ)

『ん?』
「キャディさん、ここは狭い?」朝一番に聞かれた。
「ええっと、・・・あんまり広いと云われたことはありませんので・・・」
この質問に限ってキャディさんはいつも口を濁す言い方をする。面と向かって「わたしのコース
は狭いですよ!」とは云いたくなかったのだ。
「そう、ありがと。」
そのお客さまは簡単に話を切り上げた。スタート・ホールはバーディパットを外しパー。
次のミドルは両サイドがO.B.で18ホールの中で一番狭いホールだ。
「どんなホール?」
「狭くて短くて〜短くて狭くて・・・。」
「ふふふ。大丈夫!」
お客さまは自信たっぷりに云う。
「オレは◯◯ンで鍛えてるからね!」
「キャディさん、こいつ◯◯ンのメンバーなんよ〜」
「汚ねぇよな〜、狭いとこ、なんとも思ってないんだから〜」
「あっ、・・・えっ!わたし・・・」
「知らんやろなあ、◯◯ンていうても。」
「・・・行ったことあります。」
「ええっ!?◯ん◯だよ?」
「はい、◯◯ンカントリークラブ◯ん◯ですよね。知ってます。」


2000.1.18(くもり)

『イップス』
ゴルフの病気・・・イップスって知ってますか?
例えばパターで、加減が出来なくなる。
入れようとするあまりに、手が動かなくなる・・・とか逆に手が出てしまう・・・とか。
プロゴルファーなんかによくいるそうです。
お客さまにもときどきいらっしゃいます。
セカンド・ショットを8番アイアンで・・・打とうとしてるんですがなんだか様子がおかしいのです。
「う、う、うっ・・・」
何事?
「打てない、よーっっ!」
・・・。
もう、見てるこっちが力が入るくらいのショットなんです。
アプローチのときも、
「手、手、手が、お、お、お、下りて来ないよーっっ!」
「キャディさん、気にしないで。あいつイップスだから。」
「・・・はあ。」
ショットのときもイップスなんてあるんだぁ。。。
初めて知った。


2000.1.25(あめのちはれ)

『年に1度のゴルフ』
「キャディさん、宜しくお願いしまーすっ!」
朝一番キャディさんの顔を見るなりはりきって声をかけて来る人には注意しなければならない。
何故なら・・・
「僕、あんありコース行ったことないんですよー。イン・コーススタートなんですけどイン.コース
ってどっちですか?」
ゴルフ場の中を見渡しながら云ってくれるとまだ助かるんだけどスコア・カードを見ながら云ってく
れるのには参った。(笑)
「おまえなぁ、こっちに「イン」って書いてあるじゃないかー。」
さすがに同伴者がとがめた。
「ああ、なるほど、書いてありますねー。」
「今日は、キャディさんの云うクラブで打つから宜しくね!キャディさん!」
「ゴルフしたことないんですか?」
何かの世間話をするかのように思わずキャディさんは聞いていた。
「うん、年に1回するかしないか、なんだよねー。」
「練習場は?」
「それがさー、日曜日に行ったんだよねー。もう、久々に!帰ったら筋肉痛で〜腕が痛くてさ〜。」
「まあ、お気の毒に〜。」
「おまえらな〜、やる気あんのかよー!」
再び同伴者にとがめられた。(笑)


2000.1.26(ゆき)

『7番アイアン』
まず、キャディさんはプレーヤーのクラブの確認をするものだ。
だいたい、ウッドが2〜3本、アイアンは3番〜9番まででメーカーによって、P、AまたはFが入り、S
があって各々パターが入っている。ゴルフのクラブは基本は14本なので14本よりも少なくてもかま
わない。
「えー、お客さま〜クラブですが、ウッドは2本で宜しいですね!」
キャディさんは次にアイアンを3番から数えはじめた。
「3番、4番、5番、6番・・・6番アイアンはないですね〜」
まあ、たまに途中が抜けてることもあるから気にしない。
「それから〜7番〜7番アイアンは〜・・・。」
どう見ても7番アイアンが3本あるのだ。
「お客さま〜7番アイアンは3本で、宜しいでしょうか?」
「うん、それくらいでいいよ。」
・・・それくらいも何も3本も入っていれば十分だろう。
130ヤード、アゲンストの風が吹き上がっているときに
「何番にしましょうかっ!?」
「7番!」
「な、7番って・・・どの7番にします?」
「どれでもいい!」
「・・・。」
参りました。


2000.1.27(ゆき)

『雪だるま』
真っ青な青空だった。
気になるのは遠くの山にかかる黒い雲の影・・・
そして〜
風が吹き、あたりが薄暗くなってきた。
イヤな予感がした。
あっと云う間に吹雪になった。
見る見るうちに雪は積もり、
グリーンを埋め尽くしてしまった。
ゴルフボールはくるくる雪だるまになった。
「・・・パターできない。」
「そうですね。」


2000.1.30(くもりのちあめ)

『先生』
301ヤードの打ち下ろしの短いミドルでティショットは左にひっかかったものの残りはピンまで60ヤー
ド、とキャディさんは見た。
「70ヤードくらいあるかなぁ?」
アプローチを受け取りながらそう聞いてきた◯さんに
「70・・・は大っきくないですかぁ?手前からいかないと転がりますから〜60くらいでいいと思うんですけど。」
「う〜ん。」
そしてアドレスに入った。
後ろ姿をキャディさんはじっと見つめていた。
◯さんはキャディさんの個人的なゴルフの先生だった。
バックスィングからクラブが下りて来た瞬間、あっ!・・・と思った。
打ち込まれた球は高く上がりピンの手前1mほどの所にピタッと付いた。
そうなのだ。
はじめから転がるような球を打つ人じゃなかったのだ。




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